投稿日 : 2023年1月6日
デジタル通貨の普及。世界と日本の違いとは!?
デジタル通貨は、新型決済インフラの1つです。
近年、多くの国で注目を浴びていますが、世界と日本ではどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、デジタル通貨が注目を浴びる背景や世界と日本の違い、中央銀行と民間が発行するデジタル通貨についてご紹介します。
デジタル通貨が注目を浴びる背景
デジタル通貨が注目を浴びるようになった背景には、まず中国が「デジタル人民元」を、2022年2月に行われた北京冬季オリンピック前の完全導入を目指していることが挙げられます。
実際にいくつかの国が導入したことも理由の1つです。
カンボジアとパナマでは既に導入されています。
カンボジアの通貨はリエルですが、デジタル通貨は「バコン」という名称です。
また、パナマの通貨は「バルボア」ですが、デジタル通貨には「サンドダラー」という名前がついています。
この影響を受け、日本を含めた先進国の中央銀行も、現在では「発行予定はない」ものの、デジタル通貨の研究を行っています。
ただし、現在では日本銀行は「デジタル円の発行予定はない」としています。
中央銀行が発行するデジタル通貨
現在では、デジタル通貨には「中央銀行が発行するもの」と「民間の組織が発行するもの」の2つに分けられます。
そもそも「通貨」とは、法的通用性がある貨幣のことを指しているため、通常は中央銀行が発行するデジタル通貨、すなわち「中央銀行デジタル通貨」がそもそもの定義でした。
しかし、近年ではその定義も緩んできています。
中央銀行のデジタル金貨は、紙幣と硬貨のような通貨部分がデジタル化されています。
ほとんどの国では、中央銀行が「通貨(現金)」を発行しています。
たとえば、日本では、紙幣や硬貨があります。
日本の場合は、紙幣は「日本銀行券」となっており、日本銀行が国立印刷局で印刷しています。
硬貨には「日本国」と刻印があり、正確には政府が発行しているものです。
造幣局で製造され、日本銀行に交付されますが、この時点では「発行」といことになります。
中央銀行は国民のそれぞれの口座を保有し、管理することが基本設計になります。
デジタル人民元では、国民の細かい決済の管理が可能となるのです。
実際に導入されているカンボジアやパナマなどでは、自国通貨の流通が少なく、経済規模が小さいため、自国通貨の流通を増加させようとする特殊な要因があります。
さらに、デジタル通貨の導入は、金融、デジタルの社会的教育など、「金融包摂」も目標とされているのです。
中国のデジタル通貨
中国は、デジタル人民元を発行し、貿易決済でも使用するとしています。
ただし、中国がデジタル人民元になったとしても、人民元の国際通貨としての地位向上は限定的とされています。
資本規制によって相場がコントロールされるので、基軸通貨になる可能性が低いと考えられているからです。
さらに、中国は2021年1月に国際的な決済ネットワークであるSWIFTと合弁会社を設けました。
中国側は、デジタル通貨の研究所や人民元の国際銀行間決済システムなどが参加します。
しかし、通貨そのものがデジタル化したならば、「電文」発信機能の意義はなくなるでしょう。
中国の目的は、国際標準となっているSWIFTの影響力を活かし、デジタル人民元を国際化することと考えられています。
他の国のデジタル通貨
タイの中央銀行は、国内卸売の大口決済であるデジタル通貨「インタノン」を試験的に使用しています。
今後、小売りにも対象を広げる予定であるとされています。
また、スウェーデンでは、デジタル化を積極的に進めており「eクローナ」の検討が進んでいます。
民間が発行するデジタル通貨
近年では、「デジタル通貨」という言葉は、いわゆる「電子マネー」にも用いられています。
民間企業が発行する電子マネーは、そもそもデジタル通貨と表現することは間違いとされていますが、現在ではその間違いが定着しつつあります。
日本では、メガバングやNTTグループなど30社超が組んで、デジタル通貨の共通基盤を実用化するための改革を行っています。
デジタル通貨はスマートフォンなどで受け取ることが可能になり、既存の電子マネーとの交換機能も備えているのが特徴です。
業界の垣根を超えた決済基盤を整えることで、企業間取引のデジタル化にもつながります。
また、従来では自治体による景気対策として「プレミアム商品券」が用いられてきましたが、代替として「デジタル地域通貨」も広がっています。
デジタル通貨についての知識をつけよう
デジタル通貨は、現在では国の一部で導入されているのみですが、今後は広がりを見せると考えられています。
また近年では、民間企業が発行している電子マネーをデジタル通貨ということもあります。
日本でも多くの企業はデジタル通貨の共通基盤を実用化する取り組みを行っているため、事業者の方は今後の動向をチェックしてみてはいかがでしょうか。