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証券決済とは?日本のシステムを理解しよう

証券決済とは?日本のシステムを理解しよう

株式や国債、社債などの有価証券は市場で売買されています。
そこで気になるのが、有価証券を売買したときに行う決済です。
キャッシュレス決済と同様に、売買の相手方と現金のやり取りをすることなく、決済が行われています。

本記事では、証券決済について日本で採用されているシステムを解説していきます。

証券決済の基本

証券決済について、基本的な事項を見ていきましょう。

証券決済の流れ

証券決済とは、株式や債券などの有価証券を売買する際に行われる受け渡しのことです。
買主は代金を相手方に渡して有価証券を受け取ります。
それとは逆に、売主は代金を相手方から受け取って有価証券を渡します。

ただし、売買が成立してすぐに証券決済が行われるわけではありません。
証券決済が行われるまでの間に、照合システムと清算機関を通しています。
これらのシステムや機関を通すことで、証券決済の正確性を担保する仕組みです。

証券決済後に資金決済が行われる

照合と清算を経た取引は証券決済が行われますが、証券の種類によって実施する機関が異なります。
株式や投資信託、社債など民間で発行している証券であれば、証券決済機関は「証券担保振替機構」です。
「ほふり」という略称で呼ばれることもあります。
また国債に関しては、日本銀行の日銀ネット国債系が証券決済機関の役割を果たします。

【日本の証券決済】改革事情

2010年代後半に日本の証券決済において、以下2点の改革が行われました。
ここでは、改革の背景や具体的な内容について見ていきましょう。

稼働時間

以前までは、日銀ネット国債系の稼働時間が短めで、円資産の担保としての活用が十分ではありませんでした。
そのため、2016年2月に日銀ネット国債系の稼働時間が延長され、21時まで稼働するようになりました。

決済にかかる期間

欧米では国債の決済にかかる期間は「T+1」が主流で、株式決済に関しては「T+2」が主流です。
しかし、以前までの日本では欧米よりも決済にかかる期間が長めに設定されていました。
そこで、2018年5月に国債の決済期間を欧米に合わせる形で「T+1」に短縮されています。
株式決済に関しても2019年に「T+2」に短縮されました。

また「T+1」というのは、決済日が約定日の1営業日後という意味です。
同様に「T+2」は約定日の2営業日後を指します。

日銀ネットを国外からも利用可能に

以前まで日銀ネットは、国内からのみ利用可能でした。
しかし、海外から日本に投資する人も多いことから、日銀ネット端末を海外拠点にも設置しました。
これにより事務処理が効率的になり、業務継続体制も強化されています。

【日本の証券決済】照合と清算

証券決済の際に行われる照合と清算について、日本ではどのように運用されているのか見ていきましょう。

照合

照合とは、売買が行われた有価証券の種類や銘柄、数量などの確認を行うことです。
有価証券には株式や国債などをはじめとした、さまざまな種類のものがあります。
株式の中でも非常に多くの銘柄があり、似ている銘柄もあるでしょう。
手違いなどが起こらないようにするためにも、照合は非常に重要です。

清算

清算は清算機関によって行われていますが、「ほふりクリアリング」と「日本証券クリアリング機構」という清算機関があります。
「ほふりクリアリング」は株式を対象に清算を行う清算機関で、証券保管振替機構が出資して設立されました。
「日本証券クリアリング機構」は複数の証券取引所が共同出資し、株式の清算を行うために設立された清算機関です。
国債を対象に清算を行っている清算機関と合併した経緯があり、現在では株式と国債の両方を対象に清算を行っています。

この他に、金融商品市場の取引について清算を行っている「東京金融取引所」という清算機関もあります。
投資信託や社債を対象に清算を行う清算機関はありません。
その理由は、投資信託や社債は、清算が必要な金融商品の種類があまり多くないためです。
清算を行ったとしても国債や株式のような効果は期待できないことから、清算を行わず決済に進みます。

【日本の証券決済】決済システム

日本の決済システムとしての役割を果たしているのは、証券保管振替機構と日本銀行です。
証券保管振替機構と日本銀行が振替を行うことで、売買された有価証券とその代金の受け渡しが完了します。
さらに証券決済と同時に、日本銀行において資金決済が行われる仕組みです。
資金決済というのは、証券決済機関と日本銀行の当座預金との間で行われる振替のことです。

証券決済の仕組みがあるからこそ安全に取引できる

株式や国債などの有価証券の売買では、照合や清算、決済などさまざまな処理が行われています。
そのような処理が行われることにより、売買した有価証券は確実に受け渡しできる仕組みです。
株式投資や債券投資をする人にとっては安心して取引できるでしょう。
また、決済の安全性という意味では、キャッシュレス決済にも共通する面が多いです。
そのため、このような証券決済の仕組みをぜひ覚えておきましょう。

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