投稿日 : 2022年7月22日
電子マネーの仕組みとICカードの種類。接触型と非接触型の歴史
電子マネーには大きく分けて「接触型」と「非接触型」があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますが、今後はどう普及していくのでしょうか。
本記事では、日本の電子マネーの特徴、課題と展望についてご紹介します。
電子マネーの定義
日本での電子マネーは主に以下の8種類に分類されます。
- 楽天Edy
- SUGOCA
- ICOCA
- PASMO
- Suica
- Kitaca
- WAON
- nanaco
あらかじめ電子マネー内にお金をチャージするプリペイド型が主流で、利用に応じて残高を差し引きして決済します。
日本の接触型ICカードによる電子マネー
日本の接触型ICカードによる電子マネーは、以下のように多くの実証実験を経て実現しました。
- 1997年10月~1998年3月:Visaキャッシュ
- 1998年2月~1999年3月:郵貯電子マネー
- 1998年7月~1999年10月:Visaキャッシュ
- 1999年4月~2000年5月:スーパーキャッシュ
- 1999年12月~2004年3月:MONDEX
その後、1999年7月にEdy!が誕生し実験を開始、2001年に実用化されます。
またSuicaが2001年3月にまずIC乗車券として実用化され、2004年に電子マネーとしてショッピング利用が可能になりました。
日本の非接触型ICカードによる電子マネー
日本は、世界に先駆けて非接触決済の先進国となったといわれています。
最初にFeliCaを搭載したのはEdyですが、普及までに時間がかかりました。
2003年にクレジットカードのANAカードに搭載されることで認知が高まりましたが、当時はまだ「かざして決済」という概念が浸透していませんでした。
その後、Suicaが2004年に電子マネーを買い物にも利用できるようになると、駅の売店や駅ビルなどで「かざして決済」を利用する人が増加します。
また「おサイフケータイ」が登場するとさらに認知度が高まり、EdyやSuicaなどを利用する人はさらに増えたと考えられています。
電子マネーから見えた課題
電子マネーはユーザーにとっても加盟店にとってもメリットの多いサービスですが、課題も残っています。
ここでは、電子マネーから見えた決済サービスの課題をご紹介します。
課題①:国際規格に準拠していない
近接型非接触ICカードの国際規格であるISO/IEC14443には「Type-A」と「Type-B」があります。
しかし、日本で多く使われているFeliCaは、デバイス間の非接触IC通信の国際規格であるISO/IEC18092分類されるため、ISO/IEC14443ではありません。
そのため、カード形状が国際規格ではないことがあります。
公共性の高い機関が国際規格に準拠していなければ、信用されない可能性もあるでしょう。
このため、マイナンバーカードやICパスポート、IC運転免許証も日本で多く普及しているFeliCa ではなくType-Bとなっています。
課題②:事業継続性において課題が残る
FeliCaを搭載した電子マネーは、国内では普及していますが、独自端末、独自ネットワークを使用しています。
そのため、事業継続性において大きな課題が生じることが考えられます。
たとえば、Edyは加盟店のPOS改修や店舗システムでまかなうことができないため、サービス開始以来インフラ整備コストなどで30~50億円の赤字となっていました。
そして2011年に赤字が約363億円にまで増えたことにより、約30億円で楽天に買収され「楽天Edy」となりました。
このことを見ても、事業の継続には効率的なインフラの整備とボリュームの確保が必要であることが分かります。
電子マネーの仕組みと歴史を知っておこう
日本での電子マネーはまず接触型と非接触型に分類され、近年では非接触型が普及しています。
日本においては課題に直面することは少ないですが、独自のFeliCa技術が搭載されている電子マネーも多いため、海外で使えるものは少ないです。
そのため、訪日外国人に対応しようと考えた場合、日本で普及している電子マネー以外の決済方法の導入も考える必要があるでしょう。