海外では、デビットカードといえば「ブランドデビットカード」を指すことが多いです。
では、日本のデビットカードとブランドデビットカードにはどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、ブランドデビットカードと送金システムについてご紹介します。

ブランドデビットカードの仕組みと課題

ブランドデビットカードとは、VisaやMastercardなどのクレジットカードブランドが発行するカードです。
ここでは、ブランドデビットカードの仕組みと課題についてご紹介します。

仕組み

ブランドデビットカードとは、どこの国で発行されたカードでもVisa、Mastercard、American Express、JCBなどの国際ブランドであれば、買い物代金をカード発行会社である金融機関のユーザーの口座から即座に支払えるカードを指します。
海外では、少額の支払いに使用されていることが多いです。

一方、日本において国際ブランドは「クレジットカード」として多くの人に認知されています。
そのため、デビットカードでも即座に利用代金を引き落とすのでなく、1ヶ月分をまとめて支払えるクレジットカードのような使い方ができる場合もあります。

課題

ブランドデビットカードの課題とされているのが「オーバードラフト」です。
これはカードが利用できるかどうかを問い合わせる「オーソリゼーション」のタイミングでは口座残高が十分であったものの、売上形状のタイミングで口座残高が不足するケースです。
加盟店によっては、オーソリデータを連携してから売上データを連携するまでに、2週間～1ヶ月かかるケースがあります。
そのため、金融機関に売上データが到着するまでに数日かかり、口座残高が不足してしまう場合があるのです。
この場合は未収金となるため、ユーザーに支払いを頼む手間が発生します。

デビットカードのキャッシュアウトサービス

デビットカードにはキャッシュアウトサービスというサービスがあります。
ここでは、キャッシュアウトサービスの概要と海外で使用される事情についてご紹介します。

J-Debitのキャッシュアウトサービス

キャッシュアウトサービスとは、小売店のレジから銀行口座の現金を引き出せるサービスです。
デビットカードで買い物をする際に、買い物代金とは別に、必要な現金額を店員に伝えることで現金を受け取ることができます。
これにより、ATMや銀行窓口に行かなくても現金を手に入れることが可能です。

ブランドデビットとキャッシュアウトサービスの親和性

J-Debitは日本独自のサービスですが、ブランドデビットは世界中で利用することができます。
そのため、たとえば訪日外国人がATMを使えない場合でも、ブランドデビットがあれば身近な加盟店のレジから日本円を引き出すことが可能になります。
特に地方では日本円に変える手段が少ないため、レジで気軽に日本円を手に入れられれば地方での消費の活性化につながるでしょう。

日本でキャッシュアウトサービスを展開するうえでの課題

レジから現金を払い出すためには、現金を取り扱う手間が発生します。
近年、キャッシュレス化が進んでいるおり、レジに入れている現金額を少なくしている加盟店も多いです。
そのため、キャッシュアウトサービスを導入する際には、専用の現金を用意しておくという手間が発生してしまいます。

銀行の送金システムと新たなサービス

通常、銀行から海外に送金する場合はSWIFT（国際銀行間通信協会）に接続して行います。
しかし海外送金サービスは日数がかかるうえに手数料も高くなります。
これは、SWIFTに対応していない銀行に送金する際には、仲介者が増えて時間も手数料もかかるためとされています。

新たな送金サービス

「高くて遅い」という送金サービスを解決するため、アメリカの「ウエスタンユニオン」や「PayPal」が登場しました。
ウエスタンユニオンは1851年にアメリカで設立されたサービスで、世界200以上の国と地域、50万ヵ所の取扱店で現金の授受が可能です。
取扱店のレジがウエスタンユニオンのシステムに直結しているため、取扱店でユーザーが送金するとすぐにシステムに反映されます。

もう一つのサービス「PayPal」は、200以上の国と地域と100以上の通貨で利用できるオンライン決済サービスです。
PayPalは国際ブランドのカード番号や金融機関口座を登録しておけば、世界中の約1,800万点以上の店舗でオンラインショッピング決済が可能です。

デビットカードと送金サービスの仕組みを知ろう

ブランドデビットカードは、国際ブランドが発行するデビットカードのため、世界中の多くの地域で利用することができます。
また送金サービスにもさまざまな種類があり、手数料が安いシステムを知っておくことで今後のシステム選びにも役立つのではないでしょうか。