投稿日 : 2023年2月10日
日本と海外諸国の現金決済の現状。違いはどこにある!?
多くの事業者は、現金系の決済を取り扱っているのではないでしょうか。
キャッシュレス決済が浸透している現在でも、現金系の決済を使う人は多く、取扱いを終了させるのは現実的ではありません。
また現金系の決済には、前払い式支払い手段や後払い式支払い手段などもあります。
本記事では、日本と海外諸国の現金系決済の現状についてご紹介します。
現金系決済とは
主に現金系決済は個人顧客が行うものを指し、「現金」「電子マネー(前払い式支払い手段)」「デビットカード」「クレジットカード(後払い式支払い手段)」などが挙げられます。
割合として、一番多いのが「現金」です。
次に、口座振替・振込、クレジットカード、電子マネー、デビットカードと続きます。
日本は他の先進国と比較して、現金と口座振替の比率が高く、デビットカードの比率が低いという特徴があります。
経済産業省主導のキャッシュレス政策
経済産業省がキャッシュレス政策を推進しており、2018年のキャッシュレス・ビジョンがそれに表れています。
2015年のキャッシュレス比率は、海外諸国が4~6割であるのに対して、日本は約2割にとどまっています。
日本の直近の目標としては、2025年の大阪万博までにキャッシュレス比率を4割にすることです。
そして、将来的には世界最高基準の約8割を目指します。
出典:経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」
日本における現金の現状
日本における「現金(現金通貨)」には、「紙幣」と「硬貨」があります。
現金発行量は約120兆円とされており、多くの現金が供給されています。
しかし、約60兆円分は金融機関に預けない「タンス預金」と呼ばれるもので、こちらも増加しています。
日本の現金発行量は、GDP対比で約2割となっています。
先進国は約1割程度ですが、北欧は極端に少なく約1%となっています。
タンス預金が増加した理由
タンス預金が増加した理由については、2016年からのマイナス金利などの低金利政策により、預金金利の魅力が低下したことが原因と考えられています。
タンス預金は、金融や経済的な弊害、マネーロンダリングに流れる危険性、金融政策の効果の低下などにつながります。
そのためキャッシュレスの推進により、政府はタンス預金を減らそうとしています。
海外諸国の現金事情
ここでは、インドと米国、スウェーデンの現金事業についてご紹介します。
インドの現金事情
新興国のインドでは、1,000ルピーと500ルピー紙幣の廃止が行われました。
フィンテックの発展の一条件とされていますが、インドは金融や決済インフラでも発展途上です。
そのため、銀行にあまり預金されておらず、銀行口座保有率は人口の約5割とされています。
さらに、「地下経済」がGDP対比約4割にも上り、所得税納税者は全人口の約3%にすぎません。
このような状態を改善するべく、2016年に突然紙幣の廃止が行われました。
この時、新紙幣500ルピーと2,000ルピーを発行しました。
この交換は銀行で行われましたが、その個人情報と換金金額が税務署に連絡が行く仕組みとなっていました。
これにより、財産把握が可能になりました。
米国の現金事情
米国の決済手段において、現金決済は約3割に満たないとされています。
それでも10ドル未満の決済に絞ると、現金支払いは約5割に達しました。
そして米国は近年、硬貨不足の事態に陥っています。
これは、新型コロナウイルスの影響により、小売店や銀行が営業を停止し、消費者も硬貨を使わなかったため、流通が滞ったためと考えられています。
このため、FBBは硬貨の増産に入っています。
硬貨不足の問題は、現金決済を主とする低所得者層の生活に直撃しました。
個人運営の食品店などが加盟する全国食料品店協会によると、顧客の5人に1人は現金支払いのようです。
また個人経営の食品店では、銀行口座を持たない顧客も多くいます。
そのため、こうした顧客の日々の生活に支障が出たとされています。
スウェーデンの現金事情
北欧は特に電子化比率が高い国々として知られています。
近年では、コスト削減などのため、現金が使用できる店舗が減ってきています。
しかし最近ではその弊害が出ており、電子マネーやモバイル決済に慣れていない高齢者が買い物をしようとしても、できなくなっているという現状があります。
特に生活に密着している決済系インフラは、電子化をいきなり100%にすればいいわけではなく、デジタルに慣れている年齢層の移行に合わせて進めることが重要とされています。
各国の現金事情について知ろう
日本では現金に対する信頼度が高いことから、キャッシュレス決済が普及した今でも、現金決済の割合は諸外国と比較すると高いままです。
日本と比較すると、インドや米国、スウェーデンなどは、キャッシュレス化が進んでおり、紙幣の廃止など大胆な政策も実行されています。
日本では、まだまだ現金決済が続くことが考えられますので、キャッシュレス決済と同様に現金決済も残しておくのが賢明でしょう。