投稿日 : 2022年6月24日
世界のクレジットカードIT化変遷。背景を知ろう
世界ではクレジットカードのIT化が進んでいます。
日本にもその波は押し寄せてきており、クレジットカードのIC化や非接触化も進んでいます。
クレジットカードのIT化によって何が変化しているのでしょうか。
本記事では、世界(西欧諸国、中国)のクレジットカードIT化変遷やクレジットカード以外のIC化などをご紹介します。
クレジットカードのIT化変遷:西欧諸国
欧州では、フランスを筆頭に不正利用対策として決済カードのIC化が進んでいます。
2000年代には、店や自販機では接触型ICカードを端末に挿入し、暗証番号を入力すれば支払うことができるようになりました。
ICカード化することでカードのデータを読み取りにくくなり、多発していた不正利用を劇的に減らすことに成功しました。
さらに、ICカードによってカードそのものが本物であるかどうか確認でき、カードを持参したユーザーも本人かどうかを暗証番号によって確認できるようになりました。
また、カード券面にデータを格納・保護して演算処理やデータのやり取りが可能なICカードは、不正利用防止だけでなくカードの管理状況や支払い状況などを確認できます。
非接触IC化を進めるイギリス
接触ICが普及しているイギリスでは、非接触IC化が進んでいます。
現金決済が多い「15ポンド以下」の少額決済を主とする小売店を中心に、非接触IC端末の設置を推進し、キャッシュレス化を進めました。
また「Faster Payments」という金融機関口座同士の資金決済を、24時間365日安価で即時に行う決済インフラを整備しました。
これにより、現金と遜色ない入金の早期化が実現します。
「Faster Payments」は今後、小切手や従前の口座振り込みシステムと結合できる「New Payments Architecture」への進化が予定されています。
このようにイギリスでは、小切手や現金に関する社会コストの削減を目的とし、決済インフラを整備した上で、少額決済を現金ではなくキャッシュレス決済にしようと、非接触化ICを推進しました。
クレジットカードのIT化変遷:中国
中国で普及している銀聯カードは2018年に発行杯数が75億枚を超え、2013年には全加盟店がIC対応化、2014年には全加盟店の取引データがIC化しました。
また、ICカードの9割にType-A/Bの非接触ICチップが搭載されており、2015年には新規の銀行カード発行に磁気カードでの発行が禁止されました。
しかし、安価な磁気カードを禁止しIC対応化した結果、加盟店端末が高額となり銀聯カードの端末設置を敬遠する加盟店も出てきました。
その結果、端末が不要なQRコード決済の普及を加速させることとなります。
そのため、銀聯もQRコード決済を導入しました。
さらに中国では、銀聯(ぎんれん)も非接触IC「Quick Pass」を展開しています。
非接触IC「Quick Pass」とは
Quick PassはICカード国際規格のEMVに準拠しており、ICカードの9割には搭載されています。
Quick Passはタッチするだけで決済ができる非接触決済であり、加盟店端末も非接触ICに対応できるように推進中です。
これを受け、VisaやMastercardも欧州やアジア各国のイシュアーに対し、「2019年までに発行カードは非接触IC搭載にする」と公表しました。
さらに、アクワイアラーに対しても「2023年までにすべての加盟店端末を非接触IC決済に対応すること」としています。
クレジットカード以外のIC化
クレジットカード以外にもIC化は進んでいます。
利用料金の合計額が高額になりがちなクレジットカードだけでなく、プリペイドカードやデビットカードの残高もユーザーにとっては大事な財産です。
この財産を保護するためには、高いセキュリティを確保し、安心して使えるサービスである必要があります。
そのため、プリペイドカードやデビットカードのIC化も進みつつあります。
またカード媒体をIC化して終わりではなく、その先も考えられています。
たとえば、カードに入会後10年以上わたって支払いの遅延がなく、紛失や盗難にもあったことがない優良な会員に対しては、オフラインで使える範囲を広くするなどです。
ただし、いつもの利用パターンと異なる場合は、すぐにオンラインに接続し、利用状況や本人に連絡をして不正利用が発生していないかの確認が必要となります。
さらに、カードを紛失しがちで支払いも滞りがちな会員に対しては、常にオンラインに接続して利用状況を把握するなどの対応が必要です。
クレジットカードは日々進化している
海外諸国のクレジットカードIC化について紹介してきました。
またクレジットカードだけでなく、プリペイドカードやデビットカードもIC化されています。
今後は、IC化によって得たデータを活用することにより、さらにユーザーが快適に使えるサービスへの進化も考えられています。